電子書籍の衝撃波?2010/10/14 20:15

 つい最近、ある業界紙(雑誌)が持ち込まれ『HTML化したい』との話がありました。全面的なHTML化ではなく、幾つかの記事をHTML化してWeb連動にしたいとのことでした。
 …で、『えっ』となりました。なぜなら、通常、印刷物のPDF化やHTML化は、印刷会社がサービスでやらされているからです。こういった話が持ち込まれるという事は、『印刷会社がHTML化を断った』ということになります。これは、業界のパワーバランスから言ってありえない事です。
 特別な印刷物でない限り、どの印刷会社に頼んでも同じ物が出来てきます。と言う事は、印刷を頼む側は『何らかの不都合』が発生した場合、『都合のよい印刷会社』を選んで、発注先をそこに変えることも可能であると言うことになります。しかも、かなり簡単に。事実、公益法人等では、毎回、入札によって印刷会社を決めているところもあります。
 したがって、印刷機を動かしたい印刷会社は仕事が他社に回るのを防ぐため、多少無理をしても印刷物受注のために頑張るわけです。今回の場合、『印刷会社がHTML化を断った』かどうかは定かではありませんが、編集者が『印刷会社とは別のところに印刷物のHTML化を依頼した』ことは事実です。

 この編集者は、なぜ、そんな事をしたのでしょうか?
 私の中では、電子書籍とは、ePubやAZW、XMDF、dotBook、さらには書籍アプリの事を指します。つまり、閲覧には特別なブラウザが必要で、リフロー型のデータである物です。しかしながら、世間では『本をパソコンなどの端末で読めるようにする事が書籍の電子化である』という考え方もあります。このことにより、全部画像データで構成された書籍データや、スクリプト書きまくりのHTML、PDF化された本をを電子書籍と言う人達もいます。
 前出の編集者が、『本のHTML化は電子書籍を作ることと同じだから印刷会社に頼んでもだめだぞっ』と考えたのなら、それでいいんです。…が、そんな編集者はいないはずです。したがって『印刷会社がHTML化を断った』んじゃぁないかと思うわけです。

 では、印刷会社が断った理由は何でしょう? 印刷会社が技術的にHTMLを作れないわけがないですから、答えは一つ。タダ働きがいやだったんですねぇ。今時、印刷代だってギリギリでやってるはずです。ちょっとミスって紙代が余計にかかったら、もう赤です。だから『もう無理っ』だったんじゃぁないでしょうか。
 しかも、電子書籍時代に突入したら、その様な仕事は増えるばかりです。だって、データ持ってるのは印刷会社なんですから。そこに頼むのが手っ取り早いんです。パワーバランス的にも有利だし。だから印刷会社は『この辺で線引きしとかないと大変なことになる』と思ったのかもしれません。でも、それでいいんです。印刷機を動かすために、校正無制限一本勝負をしたり、おまけでPDFを作成したり(しかも印刷物と色が違うって文句言うし)、大変なんですから。これ以上は無理でしょっ。

 で、『HTMLなんて作らねぇよっ (`´メ)べらんめぇ、おととい来やがれっ!』と言いきった(かどうかわからない)この印刷会社さんに拍手です。これからの時代はそうしないと大変なことになりますから。
 そして、願わくば『HTMLなんて印刷屋にタダで作らせろって課長が言ってたけど、んっ、待てよぉ、本をPDFやHTMLにしてパソコンで見るんだから、これって電子書籍じゃねぇの? だったらシステム系の仕事になるから印刷会社に頼んでもだめじゃん。課長もわかってないよなぁ。やっベー恥かくとこだったよ。そうだよなぁ、だいたいタダで電子書籍作ってくれるわけねぇしっ。電子書籍作ってくれるとこネットで探さなきゃぁ、あぶねぇあぶねぇ^^;)』っていう編集者が増えますようにっ。